[ 目的 ]
交流磁場の酵素活性に対する影響を、トリプシンで検討した。
[ 材料 ]
緩衝液:50mM Tris-HCl、10mM CaCl2、pH8.0
トリプシン:細胞培養用トリプシンEDTA 溶液
酵素基質:100mM のBAPNA ( Benzyl-DL-Arginine-p-nitro anilide ) DMSO 溶液
反応停止液:33% (V/V) 酢酸溶液
[ 実験方法概要 ]
F8 マキシソープイムノモジュール( Nunc社製 )に、緩衝液で10倍希釈した細胞培養用トリプシン溶液 200μlを入れた。
そこに、2μlの100mM BAPNA 溶液を添加し、直ちに空芯コイル( Solen 空芯コイル(18AWG) 12.0mH )をヘルムホルツコイル状に設置した中央部に 写真1 の様に配置し、各周波数( KUMAN社製 ファンクションジェネレーター ) の磁場暴露下、10分間室温で反応させた。
反応の停止は、33% 酢酸を添加して行った。
その後直ちに iMark イムノリーダー( Bio-Rad社製 )で405nmの吸光度を測定した。
[ 結果 ]
トリプシン活性(OD405) 印加交流周波数 交流磁場のトリプシン活性への影響[ 考察 ]
♢ 0-100Hzで活性が亢進した理由 ♢ 磁場印加時は、pH8溶液下におけるトリプシンとBAPNAの荷電状況にもよるが、当然分子量の小さいBAPNAの移動距離が、大きく、かつその単位時間の移動距離がトリプシンの活性部位領域の大きさ(長さ)に相当したために トリプシン活性部位とBAPNAの接触回数が増え、見かけ上の活性が亢進したと考えられる。( 図1. )
♢ 300Hz以上で、非印加状態と活性レベルが同等であった理由 ♢ 周波数が大きくなればなる程、BAPNAの印加磁場による単位時間の移動距離が小さくなり、トリプシン活性部位とBAPNAの接触回数が非印加状態とほとんど変わらなかったために、 見かけ上の活性もほぼ同程度だったと考えられる。( 図2. )